III International Symposium on
the Ancient Maya in Japan:
Recent Interdisciplinary Research in
Maya Archaeology
第3回
国際マヤシンポジウム
異分野融合で見える最先端のマヤ考古学
過去を救う:
考古研究における重要なツールとしての
レスキュー考古学
エクトル・メヒア
(トレクサ社、グアテマラ)
(初来日)
昨今、考古学の在り方には重大な変革が起きている。例えば、科学技術の進歩による遺存体の生化学分析、フォトグラメトリーやライダー技術を用いた測量・計測技術の発展は考古学の調査と解釈に革命をもたらしている。また都市計画や工業、農業における発展という名の開発は埋蔵文化財の保護に対して日々潜在的な脅威を及ぼしている。つまり現代考古学における考古学者はただ遺跡を伝統的な方法で発掘し、調査するというだけではすまないのである。押し寄せる分野融合の波を受け入れ、同時に経済開発と文化財保護といういわば相反する局面を適切に理解し、処理していかなければならない。本発表ではこの考古学の変革期に際し、都市および農村の開発に如何に考古学が貢献し、同時に文化財保護を推進し、また調査研究をも行うことができるのかという統合的な問題について議論する。そして、その一つの答えがレスキュー発掘プログラムなのである。
講演者略歴
グアテマラ、サン・カルロス大学卒業、23年間に及ぶ考古学発掘の経験を持つ。14年間にわたりペテン地方の小村落遺構を踏査するグアテマラ考古学アトラスに従事した後、5年間エル・ミラドール盆地の踏査に従事、直近は電力事情改善のための送電線敷設に伴うレスキュー発掘をグアテマラ全土で展開する超広域プロジェクトを主宰。グアテマラ考古学組合長も務めており、国内外で多くの講演を行っている。