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古代マヤ文明南西周縁域の

広域考古人骨研究:

移民と戦争について

鈴木真太郎

(岡山大学)

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古代マヤはもはや「謎と神秘」ではない。考古学を中心とした多くの研究が進み、「謎と神秘」は少しずつ科学的知見へと変貌を遂げている。しかし、マヤ考古学にも一定の潮流がある。ペテン地方における大規模遺跡の発掘や碑文解読に一定の偏向があることは否定できない現実である。そして、こういった近年のマヤ考古学の潮流から取り残されがちな地域がグアテマラ南海岸地方である。居住の歴史は古く、先古典期前期(紀元前1000年以前)にまで遡る遺跡や遺構が確認されているが、現代における土地利用が活発で、新たな体系だった発掘調査が行われにくい。この点を鑑み、本研究は1980年から1990年代の初頭にかけて発掘された考古人骨資料を新たに整理し、近代的バイオアーキオロジーの論理的枠組みから再鑑定、その上で当時は存在しなかった安定同位体分析等の理化学分析を行い、マヤ考古学の空白地とも言えるグアテマラ南海岸地方に新たな見解を示すものである。本発表ではその中でも特に先古典期後期から終末期にかけてのグアテマラ南海岸における移民と戦争の状況について考察する。

​講演者略歴

現在、岡山大学大学院社会文化科学研究科講師。上智大学外国語学部卒業後、ユカタン自治大学(メキシコ)で修士号、メキシコ国立自治大学で博士号を取得し、その後金沢大学人間社会研究域附属国際文化資源学研究センターで客員研究員を務め、並行してグアテマラ、デルバジェ大学に4年間勤務した。メキシコ国立自治大学からは2015年度哲文学部メソアメリカ研究科博士首席卒業生としてアルフォンソ・カソ勲章を授与されている。平成30年度文部科学省卓越研究員、2019年3月から現職。専門はメソアメリカ〜マヤ文明圏における考古学、特に考古人骨の研究、バイオアーキオロジー。

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